身体運動学とは

 人が動くことを科学的に説明,解明しようとする学問が身体運動学です.
 例えば,椅子から立ち上がるとき,まず体を前に倒します.なぜ倒さなければ立てないのでしょうか.
 立っている姿勢から歩こうとするときに,なぜ足を出すのでしょうか.
 市販の人形が立っている上体で,片腕を横に広げると転んでしまうのはなぜでしょうか.
 こうした人の動くことを大きく物理学的に,または神経学的に説明するのが身体運動学です.
 もちろん,人が動くためには呼吸もしなければならないし,栄養も取らなければなりません.見た目の動くことだけをみるのが運動学ではなく,動くことの基本となる呼吸や循環といった運動生理学,生まれてからの発達といった神経生理学などの点も考慮しなければならない,非常に広い範囲の学問です.
 当ゼミではすべてを網羅するには難しいので,関節の構造・機能の面に限定して身体運動学に関する研究を行っています.

身体運動学に関する研究

 専門的な詳細は,右メニューの「業績」内,研究論文をみてもらえばわかりますが,最近の当ゼミでは,以下の研究を行っています.

筋電計を使った姿勢・動作の解析

 筋肉の働きを電気信号として記録する筋電計というものがあります.この筋電計を利用して,姿勢や動作のなかで,筋肉がどのように働いているか解析できます.
 表面筋電計の簡単な説明は,こちらのページをご覧ください.


 例えば,歩いているときに足の筋肉はどのように働くか.どのときにどのくらいの力が入るかという単純なことから,複数の筋肉が協調し合って働く様式まで把握することができます.一つの関節が障害を受けると,協調活動が崩れて,筋肉の働きは調和がとれない状態になります.
 歩けなくなったとか,歩く格好がおかしい状態になったとき,それは単に筋力の衰えなのか,協調性が崩れたのかなど原因は様々です.筋電計を利用して筋肉の働く状態を記録して,障がいを持った人はどのような異常を呈しているのかを把握します.
 筋電計は,働く筋肉の場所を体の表面から探り,電極を貼り付けます.体の表面から筋肉の位置を探るためには,解剖学的な知識が必要となります.また,電極を貼り付けて筋肉の活動が得られているのかを判断する専門的知識が必要となります.
 波形が出れば筋の活動だと思っている人が多いのですが,実は別の波を筋活動と思い込んで記録している例もあります.適切な判断にはそれなりの知識と経験も必要です.当ゼミでは,さまざまな筋電計を使って約30年間研究を継続してきたノウハウを生かし,筋電計の使い方・記録方法,波形処理の知識・方法を指導できるとともに,厳格にチェックする態勢もできています.
 筋電計の測定にはそれなりの技術や経験も必要でしたが,当ゼミでは近年,ポータブルタイプで貼り付けるだけの送信機とipadによる記録が可能となった機器を導入し,前準備の飛躍的な時間短縮が可能となりました.
 筋電計を使用して,人の歩く,立つ,座るなど,様々な動作・姿勢における筋肉の活動を視覚化し,人の動きを科学的にとらえる研究を進めています.

立位姿勢の分類とそれらの違いに影響する因子

 肩こりや腰痛は最も多くみられる不定愁訴で,医学的な原因がはっきりしていないものが多くあります.この原因として,日常生活の姿勢異常が挙げられています.
 姿勢は,動作の基本となりますので,姿勢が悪いと動作異常にも影響します.
 背中が曲がった姿勢や,腰を反らせた姿勢,逆に背中が平らになった姿勢など,様々ありますが,その姿勢を分類して,関節の状態や筋の影響を研究しています.
 また姿勢は,老けて見えるなどの見た目にも影響します.当ゼミでは,院生が中心となって,様々な観点から姿勢の研究を進めています.

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